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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(れ)864号 判決

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人鶴田英夫、同杉村逸楼の各上告趣意について。

所論商工省令第四号第一条によれば「真珠又ハ真珠製品ハ販売、譲渡其ノ他一切ノ取引ヲ為スコトヲ得ス」云々と規定し、特にかかる製品の「買受」を掲記していないことは所論のとおりであるけれども、「其ノ他一切ノ取引」には文理上「買受」をも包含し得るのみならず同省令の基礎となった一九四六年一月一四日附の天然真珠及び養殖真珠の仕上品、未仕上品の目録と販売認可に関する連合国最高司令官の指令の趣旨、昭和二三年一二月二四日農林、商工省令第六号第三条の規定(真珠等の譲受け禁止規定)等に徴すれば、右「一切ノ取引」中には真珠又は真珠製品の買受けも含まれるものと解するを相当とする。されば被告人等の本件真珠製品の買受け行為は、同省令第一条に違反するものと解し、これを処罰した原判決は正当で所論の如き違法はない。論旨は理由がない。

よって刑訴施行法二条旧刑訴四四六条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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